大学院生・研究者がブログを書く上で注意したいこと

大学院生活

私含め最近、ブログを通じて自身の専門や研究生活について発信する大学院生・研究者が増えているように見受けられます。専門的なブログが非アカデミアの人にも読まれることで、アカデミアと一般社会との深い溝を埋める契機にもなり得ますし、ブログは論文と違って専門知識が全くない人が読んでも理解しやすく楽しく読んでもらえるような工夫が必要になるので、自分の専門についてのブログを書くのは何より研究者本人にとっての勉強になります。

しかし、元気に書き続けるために、そしてより多くの人に読まれ、愛されるブログにするためには、注意しなければならないことがいくつかあります。

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まず「稼げない」前提で!

最近流行っているように「ブログで稼ぐ」ことを目的にすると、よほどうまく世の中の流れと噛み合わない限り研究ブログだけでは非常に厳しいと言わざるをえません。理由は単純で、需要がないからです。身も蓋もありませんが、これが真実なのです。

中には哲学専攻の博士課程学生が哲学について発信していたウェブサイトが評価されて、書籍出版にまで至ったという例も聞いたことはありますが相当なレアケースでしょう。研究ブログは基本「儲からないのが普通」です。

ゆえに、アフィリエイトでバリバリ稼ぎたい!という場合は研究ブログ一本で稼ぐ、という戦術はまず諦め、自分の好き嫌いは一切度外視した稼ぐ専用のブログなりサイトなりを立ち上げて、組織的に運営すべきです。まあそもそも最近はアフィリエイト自体下火になってきてるのですが……(小声)。

研究ブログは、収益よりアウトプット力の向上など自分の成長を重視したいという方向けです。あまり収益には期待せず、儲け話が来たらラッキー、程度の心構えでいましょう。

 

脱・「学者様」 一般人目線を持とう

ここからは、発信内容についての注意です。

世間から見た研究者は、何やら自分たちのあずかり知らぬ難しいことを年がら年中考えている怪しいやつらです。そしてつきまとうのは「偉そう」というイメージ。わけのわからないことについて、これまたわけのわからない専門用語を並べ立ててドヤ顔解説キメてるけど何を言ってるのかさっぱりわからない。一般人が研究者に対して抱いている認識なんてこんな程度です。はっきり言ってスタートラインから敬遠されています。

ですから、たとえ自分にはそのつもりはなくても、専門用語の多用や堅い文体など、いつも論文を書くのと同じ調子で記事を書いていては、一般の読者には「インテリぶってるうざいやつ」に響いてしまうのです。こうなったらもう、読者から読む気は失せていきます。専門用語には必ず解説をつけたり、身近な事例と絡めたりしてカジュアルに説明することを心がけましょう。

記事を書き終わった後、専門知識について全く知らない読者になったつもりで読み返してみるのも良いでしょう。まっさらな気持ちで読んでみると、自分で書いておいて「こんなん誰が読むか!」と叫びたくなる、独りよがりな文章になっていることもままあるものです。

 

アカデミアの「正義」と一般社会の「正義」とは別物だということを自覚せよ

専門的な学問を一般向けに平易に解説した媒体もあります。例えば、最近は社会人の間で数学ブームがあるみたいで、学び直し数学と銘打った書籍やウェブサイトを見かける機会が増えました。私は数学が専門ではないのでわかりませんが、数学を専門とする研究者からすれば間違っている記述もあるでしょう。

私は言語学を専攻しているのですが、巷に出回っている語学書や語学学習サイトを見ては「ここ違う!」と心の中でツッコミを入れまくっています。はっきり言って、研究者の目を通して見れば、一般向けの参考書は間違いだらけです。それはどの分野でも。論文や研究発表だったら絶対に許されないような書き方、説明の仕方も平気でされています。

ではこれらは本当に間違いなのでしょうか。無論、アカデミアでは問答無用で間違いになります。アカデミアに求められているのは何より細部に至るまでの厳密性だからです。しかし、視点を一般社会に移してみると、必ずしも間違いとは言いがたくなります。なぜなら、一般社会で最も求められているのは大枠のわかりやすさ、親しみやすさであって、細部の厳密性ではないからです。だいたい合っていれば、それでもう厳密さの基準は満たしているのです。アカデミアと一般社会とではそもそも求められているものが違うのですから、アカデミアの物差しで一般社会を測るとうまくいきません。まずは一般社会の物差しの存在を受け入れ、過度に厳密性にこだわらない勇気を持ちましょう。細部ではなく、大枠の説明に注力するのです。

 

自分の興味関心は世間の感覚とだいぶずれていることを自覚せよ

誰もが自分の研究について楽しそうに語り、またこちらの研究の話も少なからず興味を持って聞いてくれる人が多数派のアカデミアにどっぷり浸かっていると忘れてしまいがちなのですが、そもそも実際の圧倒的多数派である世間の人々は研究になんか興味ありません。

彼ら彼女らはエレガントな数式にも、これまでの歴史的通説を覆す出土物にも目もくれず、そんなことより贔屓の芸能人や歌手の動向の方がよほど気になってしょうがないのです。だから嵐の活動休止報告の一声で何億という金が動くしトレンドブログや芸能人のインスタグラムにアクセスが集まり続けるのです。

概して研究者は世の中の流行りごとに関心がなく、研究を本気で面白がっているものですが、そんな人たちは少数派の中のそのまた少数派のそのまた少数派くらいです。「こんなに面白いことを書いてるのに、なぜアクセスが少ないのだろう……」という嘆きは研究者ブロガーのぶつかる壁かもしれませんが、当たり前です。そんなの面白がれるのあなたとその周りのごく一部の人間だけなのですから。トレンドブログには、読者候補の分母から負けているのです。

 

研究者による情報発信の意義

トレンドブログに埋もれ、見向きもされずまず儲からない。それでも、研究者による情報発信はこの世界に大きく貢献します。男脳・女脳江戸しぐさなど、学術的根拠もないのに学問ヅラしているトンデモ情報を理論武装で一蹴できるのが研究者の強みだし、研究ブログの最大の意義でもあります。ブログでもyoutubeでも、自分の専門について情報発信する研究者が増えれば、インターネット上の情報の質の向上にもつながるでしょう。

検索すれば10や20と出てくる、似たり寄ったりで信ぴょう性の乏しい薄っぺらい情報に辟易として、専門性が高く信頼できる情報を求めている読者も必ずいるはずです。そう思うと、アクセスが集まらないからとブログを辞めてしまうのは勿体無いと思えてきませんか……?

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